「五十肩」だと自己判断。6か月たっても回復しないその肩は本当に「五十肩」?
今まで仕事の経験は事務系だけだった57才女性Hさん。
55才を過ぎて始めた介護の仕事は想像以上にキツく、ある日、右肩から腕にかけて電気が走るような激痛が。
その後も痛みをこらえて1か月ほど仕事を続けましたが、我慢が限界に。
とうとう退職。
でもその時は、「仕事をやめたんだからそのうち治るだろう」と軽い感じで考えていたんです。
ところが仕事をやめてから6か月、一向に治る気配がありません・・・。
今回のブログでは
- 「肩が痛いのは五十肩、そのうち治るでしょ。」その思い込みは危険です。
- 「五十肩」とよく似た症状の「腱の部分断裂」とは?
- 様子をみていいのは2週間まで。こじらせると後々の回復に支障が。
この3つを中心にお伝えしたいと思います。
55才を過ぎて始めた介護の仕事。無理が重なり肩の激痛へ。
55才を過ぎて始めた介護の仕事。
やり甲斐を感じて続けていたものの、今まで事務系の仕事しかしてこなかったHさんにはさすがにキツく・・・。
ある日右肩から腕にかけてひどく痛めた。
「2、3日すればマシになるかな?」と期待したが、日を追うごとに痛みがきつくなりとうとう右腕が上がらなくなってしまった。
自分でも「やっぱり力仕事は無理かなぁ。」と薄々感じていたこともあり、頑張ってみたものの限界を感じて1か月後にやむなく退職。
職場はいい雰囲気で気に入っていたのでやめるのはとても残念だった。
その一方で「仕事を辞めたことだし、肩はそのうち治るやろ」と楽天的に考えていた、
もちろん病院に行こうとも思ったが、「前にも肩が上がらないことがあったけど、病院で五十肩って言われたし今回も五十肩でしょ。」
ゆっくり構えて様子を見ることに。
「肩が痛いのはきっと五十肩だから。そのうち治るはず。」この判断は正しい?
仕事を辞めて、ゆっくり家で肩の痛みが治まることを待ち続け、気づけばなんと6か月経過。
ハッキリ言って全く良くなる気配がない。
夜寝ていても寝返りのたびに目が覚めるし、だんだんと気持ちまで落ち込んできた。
「やっぱり家で様子見るだけだとあかんわ。どこかで一度見てもらわんと。」
とうとう決意。
その時ふと、以前に五十肩で病院に通っていた時にはシップと痛み止めの薬しか出なかったなと記憶がよみがえった。
「今度は病院でなくて良い治療院を捜そう」とスマホで検索することに。
「松戸 治療院 五十肩」「松戸 五十肩 肩が上がらない」などキーワードを色々変えて検索。
いくつかの治療院が出てきたが、通いやすい距離も考えてさらに検索。
とうとう松戸の統園鍼灸院にたどり着いた。
この頃には肩の痛みがジンジンと脈打つように変化して困り果てていたHさん、「へえ、女性の院長先生かぁ。色々話ができそうでうれしい。」と今度は気持ちが前向きに変化。
6か月経っても全く治らず、むしろひどくなる一方の肩の痛み。「鍼治療」が最後の望みに。
6か月もの長い間、「いつ治るいつ治る」とガマンしながら様子を見続けてしまったHさん。
初めて当院に来られた時、かなり暗い表情をされていました。
なにしろ肩を少しでも動かすと痛いので、家事を含めた日常生活全般に支障が出ている状態。
これでは落ち込んでしまうのは仕方ありません。
問診の後、院長は「初めのうちは週2回のペースで数回続けましょう。」と治療計画を立てました。
まずは痛みのために動かせず癒着してしまった肩周辺の筋肉を、鍼治療の効果で少しずつはがしていきます。
鍼治療と並行して、院長は自宅で行うセルフケアとして、多少痛くても肩を動かすこと、そしてガチガチに固まりやすい脇のリンパ節あたりをつかむというマッサージ法を伝えました。
肩の関節は特徴として全方向にグルグル回る構造になっています。
一か所でも硬いところがあると、その部分が邪魔をしてスムーズに動かせません。
痛くて動かさなかった期間が長ければ長いほど、元の柔らかさを取り戻すまでに時間がかかります。
現在の状況をご自分でも納得され、3日おきに3回続けてこられたHさん。
「痛くてリハビリがうまくできない」とおっしゃりながらも、鍼治療との相乗効果で肩の稼働範囲はどんどん広くなっていきました。
Hさんの表情はみるみる明るくなりました。
「ずいぶん良くなりました」でもあれれ?ある方向に動かそうとすると、肩が痛くて全く動かない。
最初は3日に1回の治療間隔、セルフケアの効果が出始めてからは週1回、その後は月に2回のペースで鍼治療が続けられました。
間があいたことで症状がぶり返すことがあったものの、おおむね順調に回復。
「ずいぶん動くようになって痛みも減ったしよかった~。」とHさん自身も満足げ。
ところが院長には腑に落ちないことがひとつありました。
治療回数を重ねるごとに、前方向横方向への可動域は見違えるほど増えているのに、腕を後ろの方向へ上げようとする動きだけが全くできないこと。
本当の五十肩なら「全体的に動きが改善していく」というのです。
「ある一定の動作だけが全くできないのは、五十肩のほかに原因があるかもしれない」と仮説を立てた院長は、治療後Hさんにある提案を持ちかけました。
「頼むから病院で検査を受けてきてくれないかな」院長の判断で分かったある事実とは?
「Hさんのその症状、どう考えてもただの五十肩ではないような気がするから、一度整形外科できちんと検査を受けてきてくれないかな?」
突然の申し出にあっけにとられた様子のHさん。
院長は話を続けます。
「たぶん肩の関節に石灰沈着か何かわからないけど、何か別のものが隠れているような気がするんだよね。」と。
半信半疑ながらもHさんは整形外科でMRI検査を受け、その結果を持ち再び当院へ。
…するとHさんの肩は院長が指摘した「石灰沈着」より重症度が高い「肩の腱の部分断裂」だとわかったのです。
「五十肩」と」「腱の部分断裂」の違い
「肩が痛くて良く眠れない」「痛みで腕が上がらない」など二つの症状は似ていて、医師が診察してもレントゲン検査だけでは見つけられないことがある。
もちろん圧倒的に五十肩の患者さんが多いが、検査すると約1割の人に「腱の部分断裂」が見られるとのこと。
腱とは肩の関節の動きを安定させる4つの筋肉の総称で、板状になっていることから「腱板」とも呼ばれるが、肩関節の骨と骨の間を通っているので擦り切れてしまうことが。
スポーツ時のケガで切れることもあるが、60代では20%、70代ではなんと半数の人に老化による断裂が見られるとのデータも。
ただし「腱板」は字の通り板状になっているので断裂があっても症状が出ない人も多く、炎症が起きて夜間痛や動作時の痛みが出ないと治療の対象にはならない。
自己判断は危険!痛みが少ない毎日を過ごすために今できること。
病院で「これは腱の部分断裂なので、全治6か月ですね」と診断され、ショックを受けているHさん。
「全治6か月なんて、これからどうしたらいいんやろか?」顔が青ざめています。
そんなHさんに対して院長は「そのうち治ると信じて、6か月も痛みをこらえていたのは結果的に回り道になってしまったけど大丈夫。これからは動きづらい箇所に特化して治療を進めていきましょう。」と伝えました。
実は、残念なことに筋肉や骨と違い、腱が再びつながることはほぼないそうです。
そこで、腱の部分断裂の治療の目標は「断裂は確かにあるけど症状は出ないようにする」に設定。
目標をクリアするために「腱板断裂部には負担をかけず、断裂していない部分を上手に使えるようにする」というとても高度な治療が必要になります。
Hさんは、鍼治療、整体、リハビリの3つを組み合わせた治療を受けながら、院長と二人三脚で回復を目指しています。
今までお伝えしたように「そのうち治るはず」という自己判断は大変危険なもの。
痛みが軽いうちに、プロによる見立てを受け治療を始めましょう。
治療を早く始めるほど、回復が早まります。
こじらせる前に、ぜひ行動を!
治りづらい肩の痛みに悩んでいる方は、ぜひ一度統園鍼灸院にご相談ください。
症状により、専門医をご紹介させていただきます。