「ばね指」で「手術」と言われたら~手術を決めるのは自分が納得してから
別名「弾発指(だんぱつゆび)」と呼ばれる「ばね指」。ひどくなると指の曲げ伸ばしの時に激痛が走ったり、伸ばそうとすると「ビーン」とバネのように跳ね返りが起こったりします。
今回のブログでは「ばね指」がひどくなって病院に行き、「手術した方がいいですね」と診断されたあなたへ向けて、次の3つのことをお伝えしたいと思います。手術を決める前にぜひお読みくださいね。
- 「ばね指」の「手術」についてわかること
- 病院で手術といわれても、納得してから受けること
- 手術以外の方法もあること
病院で「これは手術した方がいいですね」と言われてしまったら。
「ばね指」になるには長い年月がかかります。例えば次のような経過をたどります。
・・・毎日忙しく家族の世話に追われて○十年。体は割と丈夫で寝込むことはあまりなかったので、家族からは頼りにされていると思います。
体は元気でも、実は何年も前から手がこわばっていて、特に朝は指を動かそうとすると「痛っ!」と声が出るくらいに痛みます。でもしばらく使っていると治まるので、なるべく気にしないようにしてきました。
そうこうしているうちに朝だけでなく、日中でも指を動かそうとすると「ズキッ!」と痛むように。指の付け根にいつも違和感を感じるようになってきました。
「これって腱鞘炎(けんしょうえん)?」不安に思いながらも痛い場所に湿布をして過ごしていました。
ところが最近曲げた指が戻りづらくなったり、伸ばそうとすると「ビーン」と指が跳ね返るような症状が出てきました。痛みもますます強くなってきました。
こうなってくると「この角度は痛いかな?」「これなら大丈夫かな?」と頭のなかで「指」のことばかり考えてしまって、うっかりミスが増えてしまいました。後から考えると、このあたりまでは何とかガマンできたのです。
そしてついに!その日が来てしまいました。
朝起きたら「アレッ?」何かが変です。「指が動かない・・・」そうです、指が曲がったまま自分の意思では動かせなくなっていたのです。
あわてて反対の手で無理に伸ばそうとしました。すると「イテテテ・・・・」激痛が走ります。これでは全く用事ができません。
「どうしようどうしよう」あわてて病院に向かいます。
不安な気持ちのまま待合室で待ち、やっと呼ばれて診察を受けると先生が一言おっしゃいました。「う~ん、これは手術したほうがいいですね。」「エエッ?手術ですか?指を?」思ってもいない言葉でした。
さあ大変なことになってきました。
病院でまさかの「手術」という言葉を聞きどんな気持ちになったでしょう?
まさに「頭が真っ白」。
なんとか「少し考える時間をもらえませんか?」と言って帰ってきたものの、先生は「早く手術したほうが早く治るよ~」とおっしゃいます。
「手術?」その言葉には誰でもショックを受けると思います。「指を切る」なんてあまりに痛そうです。
「ばね指」で「手術」をすすめる病院での判断基準
では「ばね指」になってしまったら、みな「手術」と言われるのでしょうか?
・・・いいえ、そんなことはありません。症状が軽い場合は、例えば「炎症を抑える薬の注射をする」「サポーターなどをつけて固定し様子をみる」など「保存療法」をします。
「手術」と具体的に先生がおっしゃる場合は、「あれ?痛いなぁ」と最初の症状が出てから何年も経過している方が多いのです。指の曲げ伸ばしに制限がかかったり、無理に動かすと激痛が走ったりする「日常生活にかなり支障が出ている」状態です。
「日常生活に支障が出て困っている」という訴えがあると、検査をして、「手術をして早く楽になりましょう。」と多くの病院で判断されるようです。
では病院で行われる「ばね指の手術」は実際にはどういうことをするのでしょう。調べてみると何種類かあるようです。
腱鞘切開手術(けんしょうせっかいしゅじゅつ)
局所麻酔を行い1センチ程度の皮膚切開をする。腱鞘内にある腫瘤(コブ)を取り除いてスムーズに指が動くようにする。
内視鏡手術
内視鏡を使うことで切開するより小さな傷ですみ、時間も短縮できる。手術後の生活を通常に早く戻しやすい利点もあるが、重症だとできない。内視鏡手術ができる施設は少ない。
どうやら腱鞘切開手術が一般的なようです。自分が通っている病院がどのような手術をおこなっているのかよく調べてみることが大切かと思います。
そもそもどんな人なりやすいの?「ばね指」の原因とは?
「ばね指」の原因はズバリ「指の使いすぎ」です。男性にも女性にも起こりますが、仕事や家事などで指先を使う機会が多い女性がなりやすいといえます。特にホルモンのバランスが崩れやすい中高年の女性や妊娠中の女性がなりやすいとか。
興味深いのは「ばね指」になる前は必ず「腱鞘炎(けんしょうえん)」つまり「炎症があって痛いけど動かすには支障がない」期間がかなりあるということです。
「腱鞘炎」は指まわりの筋肉が縮んだまま炎症を起こして痛みが出ているのですが、この段階では「痛いから冷やそう」「使わないようにしよう」と考えて、湿布などを貼りながら「そのうち治るやろう」と様子をみてしまいます。
そうすると筋肉がますます硬くなり動かしづらくなっていくわけですね。
実は「ばね指」を「手術しないで治す」には、「悪化する前に治療を始める」ことが大切だったのですが、どの段階で病院へ行くか判断するのは難しい問題です。
毎日の生活に追われていると、どうしても自分のことが後回しになってしまいます。
「ばね指」の「手術」は簡単ですぐ終わると書いてあるけれど・・・
手術自体は縮んでしまった腱を解放させるだけ、傷口も小さいので病院によっては「数日間水に濡らさないように気をつければ日常生活に戻れます」と書いてあります。では本当に「手術」を受けさえすれば、魔法のように痛みが消えるのでしょうか?
残念ながら答えは「NO」です。手術によって腱に引っ掛かりがなくなるので、「ビ~ン」と跳ね返る「ばね指」の症状と激しい痛みは治まります。ただし完全に痛みや違和感が取れるまで(もちろん人によって違いますが)おおむね一年くらい、違和感がなくなるまでにはさらに数か月かかるといわれています。
手術は簡単なのになぜ治りきるまで時間がかかるのでしょう?その答えは「手術で腱をズムーズに動くようにしても、周りの筋肉は硬いまま」だから。筋肉が伸び縮みしづらいので血のめぐりが悪く、回復が遅くなるのです。
結局どうしたらいいの?納得して治療を続けるために。
「ばね指」には先ほど書いたように、悪くなっていくまでの「段階」があります。まとめてみると、おおむね1~4の順番で重症化していきます。
- 指の付け根に違和感を感じる。指を使いすぎると、あとで痛みが出る。
- 関節部分やてのひら全体にこわばった感じがする。指の曲げ伸ばしがぎこちなくなったり痛みが出たりする(腱鞘炎の状態)
- 指を伸ばす時に引っ掛かりを感じる回数が増える。指の曲げ伸ばしが痛い。
- 指を動かすと激痛が走る。朝起きた時、指が曲がったまま伸びないことがある。
もし今感じている症状が3までなら、手術しなくても適切な治療で軽快することがあります。4の状態になると抵抗があると思いますが、手術を受けることをおすすめします。手術後は日々薄紙を剥がすように良くなっていくので心理的にもずいぶん楽になるはずです。
ただし「ばね指」の「手術」といっても病院によってかなり技術の差があるようです。「小さい傷で済むねんな。」と思っていても、実際にうけてみると「線路のような」傷が残ってしまう場合もあるとか。いろいろ調べて、とにかく信頼できる病院にお願いすることが大切だと思います。
いつまでも痛みが引かない、違和感が残ってしまった場合。
ここまで読んでいただくと、なんとなくおわかりのように、「ばね指」」は10本の指全部に発症する可能性があります。今は一番負担がかかっている一本の指が「重症」でも、その指をかばって使い続けているうちに他の指にも痛みやこわばりがでてくるのです。
「そんなん仕方ないやんか!」とあきらめてしまいそうですが、次のように考えたらどうでしょうか?「そうや!一番痛い指は信頼できる病院で手術してもらうとして、そのほかの指は手術をしなくてもいいように治していったらいいやんか!」と。放っておいても治らないのなら、対策を考えてみませんか?
実は「手術後」の指と「ばね指になりそうな指」は共通する部分があります。どちらも「指周辺の筋肉が硬く、血流が悪い」ことです。硬くなっている筋肉をほぐす方法を、当院の院長に聞いてみました。
親指がばね指になっている場合
- 「拇指球(ぼしきゅう)」のどこかに圧痛があるはずなので、丁寧にやさしく揉みほぐします。多少痛みますが少しガマンしてゆっくりと揉んでください。
- 「合谷(ごうこく)」を同じように揉みほぐします。
- もう一度「拇指球」の痛む所を反対側の親指で押し込み、その状態のまま指の曲げ伸ばしを30往復ほど行ってください。
- 「合谷」を押し込みながら、指の曲げ伸ばしを30往復ほどしてください。
どうですか?指の動きがスムーズになりましたか?ポイントは「使ったらほぐす」「使ったらほぐす」と癖にしてしまうこと。これが「ばね指」改善の近道とのことです。
長年「ばね指」の治療をしてきた院長はこう言います。「本人はあまり意識していなくても、ばね指になりやすい方は、常に肩や腕に余計な力が入っていてカチカチに硬くなっていることが多い。」と。手仕事は指だけを使っているわけではないですよね。
本当は指だけでなく他の場所も痛める寸前なのですが、最初に負担がかかった「指」に強い痛みが出てしまったというのです。
セルフケアをしても「なんかうまくいかへんな~」と感じたら、指と全身の調整ができる鍼灸院へ一度お越しください。親指のセルフケアだけでなく他の指のセルフケアも、あなたが納得するまで院長がお伝えします。