こんにちは、松戸市六高台にあります統園鍼灸院で受付をしている田村です。
暑かった夏が過ぎ、少しずつ秋を感じる季節となってきましたね。街を歩けば”ハロウィン”一色です。季節の変わり目は、体調を崩しやすいので油断されませんように。
前回は、10年ほど毎日腹痛と下痢(過敏性腸症候群)で悩んでいる19才のM男くんのことについて書かせて頂きましたが、今回はその続編です。
はじめて、このブログページにアクセスされた方はぜひ前回のM男くんのお話にもアクセスをお願いします。
過敏性腸症候群の原因はもしかして親?
さて、M男くんからのSOSコールの内容はだいたいこんな感じ。
「先生、ぼく家出しちゃいました~」「どうしたの?」「くそおやじの野郎もうがまんできなくて家飛び出しちゃった~」「いったい何があったの?良かったらあとで来ます?話聞いてあげる時間とるから」と院長。
約束の時間にM男くんが姿を見せました。
治療室に通すなり「先生、これ読んで~」と携帯のメールを読むよう促すM男くん。院長によると、そこには諸々のやりとりがあり要は、M男くんのお父さんに対する要求と、一方お父さんには納得出来かねる様子の文面が連々と。
先にキレたのは言うまでもなくM男くん。「もういいよくそ野郎」汚い言葉で父親をなじってます。
「とにかく話にならないんだよお。ぼくが伝えたいことは正面きって受け止めようとしないし、全然関係無い話を自分から持ち出して話の焦点をすり替えようとしやがって。やってられないんだよお。」
10代の多感な青年の気持ちは、わからなくはないですが・・・そこには10何年育んでもらった親への感謝が全くと言っていいほど見受けられず、院長とM男くんの会話をそばで聞いていて言いようのない切なさが漂います。
やや沈黙の後院長は「わかった。君は家の中では、いつもおやじさんと正面きって話し合いしたくても何となく、はぐらかされてる不満で辛いんだね?話し合いたい気持が満たされなくて、勝手にキレたり口汚くののしったりしてるのかな?」
「まあ~。そう言うことですかね。」「ならば一度だけ前代未聞なんだけど、次回の治療の時もう一度お父さんと一緒に来てくれる?私は、つかず離れずの距離で二人を見守るから。家以外の場でお互い正面からどっぷり四つに組んで、腹を割って話してみようよ」
やや沈黙の後「先生がそう言うなら、おやじに話してみます。」
約束の日、M男くんとお父さんはお互い背を向けるような立ち位置で来院しました。二人の間には明らかに見えない壁が”ド~ン”とそびえ建っている感じです。
院長は、重い空気をありのまま受け止めている風な感じで、まずお父さんにわざわざお越し頂いた御礼からはじまり「先日、M男くんから悲痛なまでのSOSコールを受け取りM男くんが、お父さんと腹を割って連々と続いてきたわだかまりをといていきたい。自分の思いを正面から、ちゃんと聞いてほしいと心から願っています。」というような内容をお父さんに語りはじめました。
お父さんは、腕組みをしたまま天井を見つめ10数年にわたるM男くん一家のストーリーを少しずつ語りはじめます。
途中、感情が高ぶったM男くんが「それは違うだろ」と激高する場面もしばしば。話がすれ違いそうになったら、間髪入れず二人の会話がかみ合うように院長が両者の橋渡し役をしています。
間に、院長という第三者が介入することにより父親と息子の視線が、少しずつ向き合うようになってきました。約1時間に及ぶ話し合いの中で、親子間で激しくぶつかり合うこともしばしば。おそらく今までのM男くんの家庭では、相手をいきなり非難することばかりで「いったんは受け止めるとか言い分を聞く」という発想が、誰にもなかったのではと思わざるを得ない光景でした。
もちろん限られた時間内で、すべて丸くおさまるとかハッピーエンドにはなり得ませんでしたが、少なくともお互いの言い分をいったんは受け止めてみるという気付きが、父親・息子に得られたのは有意義な場であったと感じました。
過敏性腸症候群 症状悪化は過去のトラウマが原因?
やっと、本音でぶつかり合えた親子お互いに思っている事が言えたことによって、お二人の思考も少しずつ変わりM男くんの体調もまた快方へと向かい、”ホット”したのもつかの間新たな試練がM男くんを苦しめはじめました。
一歩前進し、自立をしようとバイトをはじめてから2カ月程経った頃、またもや院長へSOSコールが
「もうバイトへ行けない。」と、切羽詰まった様子。詳しく話を聞いてみると「お腹が痛くてバイトを2回休んでしまったのでもう行けない。どうしょう。」と。
さらに聞いて行くと以前も何度かバイトを2回休むと「もうダメだ」と思い込み自分からやめてしまっていたとの事。
自分で勝手に作ったmyルールに、しばられてしまっているM男くん。
そんなM男くんに院長は、「M男くん辞めてくれよってバイト先から言われた?」と質問。M男くんは「いいえ。」とポツリ。
続けて院長は、「『M男くん辞めてくれよ』と言われるまで働いてごらん。自分から2回休んじゃったから『もうダメだ』とか思わず『もう君はいらないよ。』と言われるまで働けばいいんだよ辞めてもらう。もらわない。を決めるのは雇い主なのよ居座るくらいの気持ちがちょうどいいのよね」とアドバイスをしました。
すると、M男くんの顔がみるみる笑顔になり「やってみます」
と、何かふっきれた様子です。そして自信を持ってバイト先へ行ったM男くん。
このやり取りのあった次の治療日「どうだった?」と院長が聞くと「大丈夫でした。」とM男くんの満面の笑み。「ほらね。辞めてくれよ。って言われなかったでしょ。だから大丈夫。」と院長の励ましに「はい」とM男くんの元気な声に、良かったなあ~。と思う私でした。
それから2カ月程は「朝の8~9時は辛いけど、それ以外は大丈夫だし、腹痛だけで下痢はないから辛くてバイトに行けない事はないです。」とM男くん。
院長が「そうだね。大分状況が良く変わって来てるね。前は、お腹固かったけどやわらかくて良いよ~。触ってごらんただ長年患っていたのが”すぱ~ん”とは良くならないけど気長にね」とM男くんにアドバイスをすると「はい。おかげ様です。ありがとうございます。」
と順調に快方に向かっていたのですが、ここでまたもや想定外の結末が
親子面談の後は、ちゃんと通院していた5カ月目を迎えた予約の日M男くんは来ません。無断キャンセルです。
「院長、M男くんに電話してみますか?」「う~ん、そうだねえ。心配は心配だけど、来ないなら来れないと彼の方から何らかのアクションをちょっと待ってみようか。」ということで、しばらく様子をみることに。
それから1週間、2週間やがて1カ月が過ぎましたが、相変わらずM男くんからは何のアクションもありません。
症状が安定してきて快方へと向かっていた矢先でした。
お見えにならなくなってから1カ月程経ちますが「症状は落ち着いているだろうか?」「バイトには行けているだろうか?」などと思ったりもします。
さらに、私の勝手な推測ですが「初めは働いていなかったので、親が治療費を出してくれていたがバイトを始めたから『そろそろ自分で出しなさい。』と言われたが”チョット”捻出するのは難しいのか・・・」何のご連絡もないので、あれこれ思ってしまいますが。
困ったときのSOS発信に対して、M男くんをどうサポートしてあげたらいいのか院長と相談をしました。
ひとりの人間として「無断キャンセル」という対応をされると正直心が凹みました。
原因が何であれ、途中でやめてしまった事はとても残念です。何故なら私自身、院長の治療を信じて1年半継続したからこそ健康を取り戻すことが出来たからです。
今回は、残念な結果に終わってしまいましたが、これからも院長とともに誠意を持って患者さんと向き合っていきたいと思いました。
ブログを読んで下さっている皆様の中で、同じような症状で悩んでいらっしゃる方がいらっしゃいましたら一人で悩まず一度松戸の統園鍼灸院にお気軽にご相談下さいね。 田村