こんにちは統園鍼灸院 受付のあべです。
今回は、院長の「変化球アドバイス」でみるみる前向きな気持を取り戻したKさんのおはなしです。
Kさんは45才。保育士として働いていて、反抗期のきざしが見え始めた中学生の女の子のお母様です。
のぼせやほてり、頭痛、肩凝りなど更年期特有の自律神経の不調で来院されました。Kさんは頑張り屋さんで、とても生真面目な女性なのですが治療を開始した頃は、口を開くと治療に対して懐疑的な質問ばかり。
例えばこんな感じ。
「この治療お金がかかるけど、ずっと続けないといけないのですか?」「こんなことしてホントに治るんですか?」などなど。私にも経験がありますが、体調が悪い時は無意識のうちに「ネガティブ」→「自己否定」→「後ろ向き発言」の言葉を選ぶ傾向にあるようです。
院長は、これらの質問に対し「前と比べてかなり良くなってますよ。ただ良い方向へ向かっていても『でも、まだつらい』『でも、まだ痛い』と思い続けているうちは、自分で良くなっていることに気付きにくいものなのよ。」と答えました。
自律神経失調症 がんばらなくていいんだよ
自律神経の治療を始めてから5回目のことです。Kさんからこんなリクエストがありました。「先生、私美容鍼を1回やってみたいんですけど・・・最近顔色が悪いし、たるみが気になっちゃって。」
「いいですよ。」と院長。
・・・というわけで、この日はいつもの自律神経の治療に加えて、美容鍼の施術も行いました。治療が終わった後のKさんは「わぁ、顔色が良くなってる~」と喜んで帰られました。
そして一週間後、再び治療に来られたKさんとのやりとり。
「先週、美容鍼をさせてもらったけど、どうだった?」と院長。Kさんはちょっと言いよどんだ感じで「う~ん。よかったんですけど、続けるにはやっぱりお金がかかるからムリかな~?」と答えました。
Kさんは言葉を続けます。
「娘の教育費がかかるから、私はいろいろガマンして一生懸命働いているんです。でも、娘は反抗してくるしイヤになります。私はこんなに頑張っているのに娘にも頑張ってほしいといつも言っているに」
院長は「そうだね。Kさんは、すごく頑張っていると思うよ。」と受け止めた上で、「Kさんは、何故娘さんにそこまで頑張れ頑張れと言ってるの?」と聞きました。
「えっ?」思いがけない質問に対して言葉に詰まるKさん。「え~っと。それは娘には、いい大学に入ってもらっていい仕事についてもらいたいから・・・かな?」と
なんとか答えます。
「お母さんは、あなたの将来のことを考えて言ってるんだよ。って娘さんに、今頑張れば将来どんなメリットがあるかわかるように伝えたことはある?」と院長。
「・・・ないです。」
院長は、重ねてたずねます。「ねえKさん目的を伝えずに、ただ頑張れ頑張れって言われたらあなただったらどう思う?反発したくならない?」
「・・・そうかもしれないですね。娘もイヤだと思います。」と消え入りそうなKさんの声。
「ねっ。自分が言われてイヤなことは、人に言っちゃダメだと思わない?」と院長。
ここで長い沈黙。そしてKさんが決心したように口を開きました。「でも私、どうやって伝えたらいいか全然わからないんです。先生どうしたらいいんでしょう?私変りたいです。」
自律神経失調症は心のストレス
「Kさんの価値観は、全然間違ってないと思うよ。ただ伝え方がちょっと、うまくいっていないだけ。ひとつ試してほしい方法があるんだけど、やってみる?」
「はい」とKさんの声。
「ちょっとゲームみたいだけど、あなたが何か前向きにトライしようと思ったすぐ後から『でも』『だって』とネガティブ言葉を言ったら私がお布施として1回100円もらうの。おもしろい方法でしょ?やってみる?」
「それだけでいいんですか?やります。やります。」とKさんは、すんなりと引き受けました。ところが、その後「でも・・・あっ」とKさんの口から何度も出てくるNGワード。
とうとうこの日は、300円のお布施が発生しました。
Kさんは、この日NGワードの『でも』『だって』が自分の口グセになっていることを、はじめて意識したようです。
自律神経失調症 良くなる言葉
ここからKさんの努力が花開きます。Kさんは自宅でもNGワードの『でも』『だって』を口にしないように気を付けたそうです。
それから2カ月がたった現在、その後も何回か発生したお布施はもう必要ありません。
院長が「自分でケアするのがムリだと思ったらプロに任せてね。」とアドバイスすると「ハイそうします」と明るい返事がかえってきます。何よりもKさん本人が「仕事の疲れはあるけれど、気持がずいぶん楽になりました。娘とのおしゃべりが楽しくなっちゃって」とおっしゃっています。
受付で聞いた時「え」と驚くような院長の「変化球アドバイス」でしたが、よい治療とよい言葉が患者さんの心に届くと、身体だけではなく気持まで前向きになるとわかった出来事でした。
こらからも受付として、患者さんの良い変化を共に喜んでいきたいと思います。 あべ