歩いたり階段の上り下りで痛む膝。「なぜこんなに痛いの?」
歩くたびに膝がきしむように痛む、階段の上り下りの時「ズキン」とひびくように痛む。
病院で診てもらってついた病名は「変形性ひざ関節症」。
聞き慣れない病名に不安になることと思います。
今回のブログでは「見えない敵を倒すにはまず相手を知ること」という想いで「変形性ひざ関節症」の原因をさぐっていきたいと思います。
年を重ねると膝の関節はすり減るの?
「変形性ひざ関節症」は中高年の方に多いことから、一般的に老化が関係しているといわれます。
真っ白で光沢があった関節や軟骨は、見た目も徐々に黄色っぽくなっていくとか。
そして新陳代謝が悪くなることから弾力性も失われてくるのです。
長年関節を使い続けていると、膝の関節の中でクッション機能を果たしている軟骨には傷がつきやすくなりすり減ってきます。
よく「関節がすり減る」といいますが、実は関節より先に関節をスムーズに動かしてくれている「軟骨」がすり減ってくるわけですね。
違和感をガマンしたまま過ごしていると、すり減った軟骨の破片によって炎症が起き痛みが出てきます。
クッションが薄くなった膝は、やがて骨と骨がぶつかるようになり変形していきます。
これが「変形性ひざ関節症」の名前の由来です。
50代以上の男女、特に女性に多く、40代から徐々に増えていきます。
なんと60代の女性の約40%、70代の女性の場合は70%が「変形性ひざ関節症」になっているといわれています。
膝の痛みに悩んでいる方はとても多いのですね。
O脚とX脚は「変形性ひざ関節症」と関係ある?
膝の関節に負担をかけず曲げ伸ばしをするには、関節に平均して重みがかかっていることが重要。
O脚は膝の内側に、X脚は膝の外側に負荷がかかるのでその部分がすり減りやすくなります。
とはいえ日本人はもともとO脚傾向の方が多く見られます。
もともとの骨格を変えることはもちろんできませんが、普段から歩き方に気をつけるなど「私はO脚っぽいから変形性ひざ関節症になりやすいかも」と心にとめておくことが必要かと思います。
太っていると膝に悪いって本当?
人が歩くとき、膝には体重の3倍もの負荷がかかっているとか。
仮に50キロの人が歩いていると、膝にはなんと150キロの負荷がかかっています。
体重が1キロ増えるごとに負荷は3キロ増、走ったり階段の上り下りではさらに負担がかかるので、自分の体重で計算してみるとちょっと怖くなります。
やはり太りすぎは膝に悪いようですね。
しかも体の脂肪が増えすぎると、関節の中にも脂肪ができて軟骨が壊れやすくなることがあるとか。
「適正な体重を保つこと」は膝のためにも必要なんですね。
膝の周りの筋力が低下すると「変形性ひざ関節症」はひどくなるの?
実は膝の曲げ伸ばしをするごとに、太ももの大きな筋肉が膝の動きをコントロールしています。
体重を受け止め、膝関節の負担を補う大事な働きをしてくれているのです。
ところが「変形性ひざ関節症」にかかると、膝が痛いのであまり歩かなくなり、膝周り、特に太ももの筋肉が衰えてきます。
「変形性ひざ関節症」は膝の軟骨に負荷がかかってすり減ることで悪化する病気。
膝を守っている筋肉が衰えてくると、軟骨へダイレクトに負担がかかりすり減りが加速するという悪循環が生まれてしまうのです。
膝にたまった「水」を抜く。この治療は本当に必要なの?
関節は「関節包(かんせつほう)」という袋に包まれた形をしています。
この袋の中には常に数ccの関節液があり軟骨に栄養や酸素を与えています。
ところが膝の中で炎症が起きると熱が発生。あわてた体は熱を冷却しようとして膝の関節液を増やし修復しようとします。
いわば必要悪なんです。ちょうど打撲したところが腫れるのと同じ原理です。
この増えた関節液がいわゆる「水」。炎症の結果である水を注射器などで抜く治療は病院で一般的に行われています。
膝の水を抜いてもらうと、圧迫されていた血流がもとに戻り、関節も動かしやすくなります。
今までの痛みがウソのように消える方もいるでしょう。
でもちょっと待ってください!
膝の痛みが消えたり動かしやすくなったりするのは、あくまでも一時的なもの。
膝に水がたまらないよう根本的な対策をしなければ、炎症が残っている限り繰り返し水がたまります。
水を何回も抜いているとクセになるとも。
「水を抜いて湿布を貼る」という治療を何回も受けているのに良くならない方は一考の余地ありです。
これ以上悪化させたくないけど、どうしたらいいかわからないあなたへ
「変形性ひざ関節症」を少しでも改善できるよう、自宅でできるセルフケアを当院の院長に聞きました。
二つのケースに分けてご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
医師のすすめで膝から水を抜いた場合
今は痛みが少ないと思いますが、再発防止のためには膝だけでなく、下半身全体に筋肉をつけるトレーニングが有効です。
座ったときに、膝の角度を直角に保てるような高さの椅子を用意してください。
- 足の親指で地面を踏みしめるように意識してまっすぐ立ちます。
お尻を突き出すように背中を伸ばし、そのままゆっくり座ります。
(この時太ももの裏の筋肉に張りを感じたら、うまく筋肉が使えています) - 足の親指で地面を踏みしめる意識を持ったまま、ゆっくりと立ち上がります。
- 少しきついですが30回くらい行ってください。
トレーニングなので少し頑張ってみましょう。
ただし途中で腰が痛くなったりした場合はやめてくださいね。
今回は水を抜かずに炎症止めの薬などで対応した場合
痛みがある時にはトレーニングができないので、マッサージから始めましょう。
できればベッドの端などに腰かける姿勢がやりやすいです。
- 痛むほうの膝をまっすぐに伸ばし、膝周りをゆっくりマッサージします。痛くない方の足は下ろしておきます。
痛む場所だけでなく、痛むところを中心に全体的に行うのがポイントです。 - 膝を含む脚全体で硬くなっているところを見つけてマッサージします。特に膝の裏には硬いところがいくつもあると思います。
「ほぐれたな」と自分で感じるまで優しく丁寧に続けてください。 - 一番気になる場所を指で押さえこみ、そのままの姿勢で足先の曲げ伸ばしをします。
ポキポキと音がしますが、気にせず続けてください。
自分で試してみて手ごたえがあまりなかったり、病院や治療院での治療が物足りないと感じられた時は、一度当院へお越しください。
膝が痛いとおっしゃる方は、実は腰や背中の筋肉もカチカチに硬いことが多いです。
全身をリセットすることが痛みの少ない生活への近道。
治療を受けつつセルフケアについても納得がいくまで院長にお聞きくださいね。