こんにちは統園鍼灸院 受付のあべです。桜の季節がやって参りました。統園鍼灸院前の桜並木も日々、開花進行中です。古代より桜に特別な感情を抱くのは日本人独特のDNAなのでしょうか。
当院は、院長が女性ということもあり患者さんは女性が8割以上です。従ってブログでは、どうしても女性についての話題が多くなってしまうのですが、今回は、遠く川口市から治療に来られた男性についておはなししたいと思います。
なりふりかまわず必死で来院
Tさんは50才の男性。お仕事は造園業で作業中に、ひどいぎっくり腰をおこしてしまい身動きひとつできない状況だったようです。とある月曜日の朝、私が出社すると院長が「まもなくとても変わった男性が来るよ。」と苦笑い。
院長の話はこんな感じ。日曜日の夜遅く、ルス電が入ってるのに気がついて再生したら「Tといいます。腰がとにかく痛くてたまらず、眠れなくて困ってます。明日うかがってもいいですか?電話番号は○○○ー○○○○です。」
あけて月曜日、院長が開院前の朝8時45分Tさんへ電話をかけたところ、電話に出たTさん「あっ、もうそちらに向かってますんでよろしく。」と一言。院長は、わけがわからず「???」「あのう、もうこちらに向かっているのでしたら順番にお呼びしますが、かなりお待たせするかもしれません。それでもよろしければ。」と返事。
わらをもすがるとは、まさにこの状況!?
それから一時間以上が過ぎた午前10時すぎ、Tさんが必死の形相で来院されました。来院されるなり「やっと着いた~」とおっしゃっています。痛い腰をかばいながら、まず問診票を記入していただきました。そして住所を見てびっくり思わず「Tさん、川口から来ていただいたんですか?」とお聞きしました。
渋滞がなくても車で90分ほどかかる距離です。するとTさんは、まるで身の上話をするように私に話してくださいました。「腰がどんどん痛くなるので近所の治療院に行ってみたものの全く治る気がしなかったんです。痛みすぎて仕事にも行けないし困り果ててHPを必死で調べていたら、千葉県松戸市にある統園鍼灸院の動画を見つけて”この人なら治せる”と確信して・・・今日は必死で車を運転して来ました。」
わらをもすがられると治療家も腹をくくるのです
しばらく待っていただいた後、院長が「責任重大だなぁ~」と言いながら治療に入りました。すぐに「う~ん、これは重症だわ。」どうやらTさんの造園という職業柄、筋肉がかなり押しつぶされていて整体で縮んでいるものを元に戻すところから始めなければならないとのこと。
ちなみに院長の通常の治療では、固い筋肉をゆるめるために、まずツボに鍼を打つことが多いです。ところが、この方のように筋肉の委縮が尋常の範囲をこえているケースは、腰のけん引という一見簡単な操作のようで、けっこう高度な技からのアプローチからスタート。何種類かのけん引を行った後ようやく、うつぶせでの鍼治療へと進むことが出来ました。
治療をしながら院長がTさんへ状態を説明します。「遠い所から来てもらって大変なんだけど、この症状だと3日連続で来てもらいたいの。それほど重症なんだわ。」「はい、わかりました。仕事に早く戻りたので来ます。」とTさん。この日は一時間近くの治療時間となりました。
ゴールがみえると患者も治療家も一安心
次の日、院長や私たちの心配をよそにTさんは予約時間より早く当院へ来られました。開口一番「昨日に比べて、すご~く楽になっています。ちょっとまだ、あお向けは痛いけど。」前の日と比べてTさんの表情があきらかに柔らいでいます。
「昨日よりずいぶん良いので本来の鍼治療からスタートするね。」と院長。しばらくして治療が終わったTさん。受付でも、おしゃべりが止まりません。「一時はどうなるかと思ったけど助かりました~。遠いけど来てよかった。」とうれしそうです。院長は「2回の治療でかなり良くなってるから明日もう1回だけ頑張って来てね。」と見送りました。
のどもとすぎれば・・・にならないように気をつけようね
3日目の朝「昨日はよく寝られました。」と晴れ晴れとした表情で来院されたTさん。早速、治療に入ります。「このレベルだと、もうTさんの自然治癒力で治るから安心してね。」と院長の声。続けて「でも、もうTさんは50才なんだから無理は禁物ですよ。
Tさんは「はい、わかりました。」と落ち着いた声で答えました。治療が終わって帰られる時「Tさん、お仕事に行けそうですか?」とお聞きしました。Tさんは「おかげ様で明日から行けそうです。でも、これからはあんまり無理は出来ないねー。気を付けます。ありがとう~。」と言い残し、はるばる川口へ帰って行かれました。
Tさんの後ろ姿を見送りながら院長が私に言いました。「遠路はるばるおこし頂いた方のお役に立てて本当によかった。又、Tさんとのご縁を作って下さったモデル患者さんたちに改めて感謝だよねぇ。」私もそう思います。良い治療院は患者さんのお役に立ちたいという共通の想いを抱いた多くの方々の支援で支えられているんだなぁ。と改めてそう思いました。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。 あべ