皆様、明けましておめでとうございます 統園鍼灸院 受付のあべです。
今年は、暖かい日が多いせいか冬という気があまりしなくて「アレッ?もうお正月が来たの?」と驚いていた私です。皆様はいかがですか?身体の感覚は冬バージョンになっているでしょうか?
今回は「あなたの不調、自分で作り出していませんか?」というおはなしです。
坐骨神経痛の原因は何?
K子さんは、週2回子供教室で添削の仕事をしている49才の女性です。お仕事柄、何時間も座っているので腰痛からとうとう坐骨神経痛になり「シビレが出てずっと座っていられません。」と来院されました。痛いまま1ケ月我慢していたので身体が石のようにガチガチになっていました。
本人いわく「4年ほど前にも同じように痛くなったので運動が足りないと思ってスポーツジムに通い始めてなんとか治ったんです。」とのこと。「でも今回は、ずっと週に2回運動してきたのに全然治らなくて・・・何故でしょう?」と再び感じた痛みに、かなりショックを受けている様子です。この質問に対して院長は、意外な答えを返しました。
心が痛ければ身体も痛い!?
「K子さん、すごくくやしい気持ちはわかります。でもねぇ、K子さんは自分で気付いているかはわからないけど、もともと自律神経のバランスが悪くなりやすいタイプなの。このタイプの人は、すぐ緊張して身体がガチガチに固まってしまうわけ。ガチガチに固まった筋肉は少しの刺激ですぐに痛みを感じるんです。
今回の腰痛も坐骨神経痛もすべて「ガチガチ筋肉」からくる痛みです。おまけに何故?何故?と自分を責めて心まで痛くなっている状態だと思いますよ。」
痛みにとらわれるからよけいに痛くなる!?
実際、一週間ごとに治療を続けて3回目のこの日・・・「仕事をしていても痛くない時間が出てきました。」ということで「座りっぱなしだと、すっと痛い」という症状は、あっさりと解消されていました。
治療によって、ずいぶん身体がゆるんだと判断した院長はK子さんに質問を投げかけました。「K子さん治療してだいぶいいと思うんだけどどう思う?」「あっ、昨日は痛かったんです。」とK子さん。「違う違う、私は今のことを聞いているんですよ。今の痛みはどう?来た時と様子は変わった?」「あ・・・。え~っと痛くないです。」
何だか話がかみ合わない様子。後で受付で聞いてみると「私、チクッと痛みを感じるとずっとそればかり考えてしまうんです。もうちょっと楽に考えられるといいんだけど・・・」と話していました。
老化を認めるのがむずかしい人
それから一週間後・・・4回目の治療です。「痛くない時間が増えてきました。」とうれしい報告です。院長は「痛くない時間が更に増えていくように治療していきましょうね。」とK子さんに伝えました。K子さんも笑顔が増えてきて、心も上向きになっているようです。
この頃から、身体全体を更にゆるめる治療に入りK子さんの症状は階段を一段ずつ登っていくようによくなっていきました。さらに一週間後6回目の治療の日です。
「昨日は一日中痛くなかったんです。今日は、ちょっと痛いけど。」痛みについて院長に伝えていくK子さん。心もほぐれてきたのか院長に自分のことを話始めました。「私、30代の頃はどこも痛くなかったんですよ~。」「その頃、私の母がいつもどこかしらが痛いって言ってたんです。その時は、お母さん何言ってるんだろ?と思ってたけど今ならわかります。でも頭でわかっててもどうしても納得できないんです。」
しばらく黙って聞いていた院長、このように話し始めました。「あのねK子さん、本当に気持はわかるけどK子さんはもう50才手前。もうそろそろ20年前の昔話はやめませんか?身体の老化は、動物として当たり前のこと・・・これから、どうしたらいいか一緒に考えていかない?」
「・・・はい、わかりました。」とK子さん。少し元気がありません。
そこで院長から提案がありました。「K子さんは腰の調子は、ずいぶん良くなってるから次の予約は2週間後でいいですよ。この2週間は自分の身体の観察期間だから気持の折り合いをつける練習をしましょう。でも、あまり痛すぎると思ったら治療に来て下さいね。」
残念な結果になってしまいました
そして約束の2週間後です。受付では「腰は痛くないです。動きやすくなってきました。」と言っていたK子さんでしたが・・・ 治療室で院長と症状の確認中のことです。院長が「この2週間、自分と向き合ってみてどうだった?」と聞くと、K子さんが「実は、のどが詰まったような感じがあって病院に行って検査したんです。」と答えました。
「えっ?のど?」と院長が聞き返します。「はい、検査しても炎症はないから薬は出せない、どこも悪くないって言われました。それで安定剤をもらって今飲んでるんです。」とK子さん。
ここで院長が改めて尋ねます。「K子さん、まず腰の痛みはどうなの?」「あっ、腰は治りました。今はとにかくのどが詰まるんです。病院ではストレスが原因だって言われたんですが、皆ストレスってありますよね。何故、私のどが詰まった感じがするんでしょう?」と院長への質問が止まりません。
院長はK子さんを落ち着かせるように、ゆっくり話始めました。「まず腰の痛みが治まったのは良かったです。次に、のどの詰まりのことだけど最初の頃K子さんにお話ししたように自律神経のバランスが崩れやすい人は、不調が手替え品替えやって来るものなんです。腰が治ったら次はのど・・・というようにね。こういう症状の時こそ薬じゃなくて東洋医学に頼ってほしいなぁ~。ビックリする位、楽になりますよ。」
「えっ?そんなことまでみてもらえるんですか?」と驚くK子さん。その後、院長が自律神経やのどに対する治療をすると「楽になりました~」と言いながら帰られました。
ところが1週間後K子さんより突然のキャンセルの電話が入りました。「予定ができたので次の予約はキャンセルして下さい。その先はわからないです。」とても一方的な感じでした。
キャンセルの電話のあと院長に聞いてみました。「K子さんかなり良くなって治療間隔もあいてきたのに何故突然、治療をやめてしまおうと思ったんでしょうか・・・」院長は「K子さんは、腰の痛みはどうしようもなかったから治療して治ってうれしかったけど、のどの詰まりはそんなにひどいわけではないのに、どうして治療に通い続けないといけないの?と思ったのかもしれないね。」と答えてくれました。
治療を続けることで、自律神経のバランスが良くなった方をこれまでたくさん見てきた私としては、とてもはがゆい瞬間です。時には、このケースのように患者さんの心に想いが届かない時もありますが、院長は粘り強く治療を続けています。私たち受付も、そんな院長とともに患者さんに寄り添いたいと願っています。
皆様にとって、今年も健やかな1年でありますように・・・本年もよろしくお願い申し上げます。 受付 あべ